吉川浩満『哲学の門前』

同じ著者の『理不尽な進化』も、あえて進化に関する誤解に焦点をあてていて相当ニッチだったが、これまたニッチな本だ。哲学の入門書ならぬ「門前書」ということで、著者の体験談のパート(である調)とそれに関する「哲学的」(?)な考察のパート(ですます調)が交互にくるスタイルをとっている。 特...

吉川浩満『理不尽な進化 増補新版 —— 遺伝子と運のあいだ』

理不尽な(扱いをされてしまいがちな)本だ。 それはタイトルにも責任があって(おそらく本書に興味を持った人の大多数はぼくを含め進化に興味がある人だ)、「進化」と銘打っているにもかかわらず主題が「進化」でないからだ。「進化」に対する人間(その中には専門家も一般人も含まれる)の理解、そし...

山本貴光+吉川浩満『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』

ストア派の中心人物のひとりエピクテトスの思想の入門書。彼は紀元1世紀中頃から2世紀中頃、帝政ローマ期にギリシアで活躍した哲学者で、もともと奴隷の出身から身を立てたといわれている。 ほぼ著者二人のかけあいで構成されているのでとても読みやすい(そして、なんとエピクテトス自身まで登場する...