初めてみた名前だが、ランドルフィはイタリアの小説家。1908年に生まれて1979年に亡くなっている。カルヴィーノやブッツァーティと並んで20世紀イタリア幻想文学を代表する作家とのこと。 ...
カルヴィーノが1946年から1958年に書いた短編の中から訳者が編んだ16篇。カルヴィーノらしい摩奇想天外な世界を期待していたのだが、全体としてリアリスティックな作品ばかりだった。10ページ前後の短い作品ばかりであっという間に読み終えられた。 ...
数年前に読んだ短編集から久方ぶり、二冊目のブッツァーティ。 なんとなく幻想的な不条理系の話なのかと思っていたが不思議なことは何もおきない。 士官学校を卒業したばかりで将来の可能性と希望でいっぱいの青年ドローゴは国境にある砦に赴任することになる。急峻な山に囲まれ国境の北側には不毛の砂漠が広がるその土地は娯楽も出世のチャンスもなく、いつか北の王国からタタール人たちが攻めてきて武功をあげるというあり得そうもない夢が唯一のなぐさめだった。幻滅したドローゴは当初数ヶ月だけいるつもりだったが、単調な勤務と生活を繰り返すうちにどんどん月日は過ぎていき、もう引き返せない年齢になってしまう。 ...
1906年に生まれ1972年に亡くなったイタリアの小説家ブッツァーティの短編集。 ブッツァーティなんて(日本人にとっては)とてもおぼえにくい名前だけど、難解なところはどこもなく、訳文もこなれていてとても読みやすかった。 ...
マルコ・ポーロの口を借りて語られる55の架空の都市の物語。どの都市もあるはずのない特異な謎をもっているが、どこか似通っていて交換可能であり、(少なくとも物語の中では)実在するかもしれない都市というより都市という記号について語っているように思える。都市の物語の間にときおりはさまれる対話に登場する語り手のマルコと聞き手のフビライも記号の織りなす広大な砂漠の中で途方にくれているようだ。 ...
十年近く間をあけての再読だ。 あなたは今イタロ・カルヴィーノの新しい小説『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている。さあ、くつろいで。精神を集中して。 ...