地点『悪霊』

つい最近『悪霊』を読んだタイミングで今回の上演。グッドタイミングというしかない。 長大な小説だし、地点なので、ストレートな演劇化ではない。舞台には雪が降っていて、池に見立てられたとおぼしき中央の沈み込んだ穴のまわりを安部聡子さんがハイペースでジョギングしているシーンからはじまってま...

ドストエフスキー(亀山郁夫訳)『悪霊』

鬼気迫るとしかいいようがない。ぼく自身悪霊にとりつかれたみたいに夢中になって一気に読んでしまった。『カラマーゾフの兄弟』よりこっちの方がパワフルで普遍的だ。 ロシア中西部のある地方で立て続けに起きた惨劇のそもそものはじまりから順を追って語られる。語り手は無個性的で穏健さがとりえのG...