『ありきたりの狂気の物語』と、もともとは一冊の本として出版されたものを、のちに、長すぎるだろうということで、分冊したもの。ときどき既視感ならぬ既読感におそわれたのも宜なるかな。 こちらは30編の作品が収録されている。やはりブコウスキー本人の体験がベースの虚構が薄い作品がメインだが、...
34篇からなる掌編集。どの作品にも作者を思わせる人物が出てくる。ほとんど一人称だし、チャールズ・ブコウスキーと名乗る作品も多い(「ハンク」と呼ばれているのも彼の本名ヘンリー・チャールズ・ブコウスキーのヘンリーの愛称だ)。特に後半の作品にはエッセイといったほうがいいような作品もあっ...
ブコウスキーが死の直前最後に完成させた小説。他の作品は作者の分身が主人公の私小説的な物語らしいのだけど(作者の分身チナスキーは本書のなかでは古書店主の「ついいままで飲んだくれのチナスキーがいたんだ」という言葉の中にだけ登場する)、これは私立探偵が主人公のハードボイルド小説という形...