長編『氷』に続いて二冊目のアンナ・カヴァン。こちらはキャリアの初期に書かれた短編集だ。 短編集というとおもちゃ箱みたいに多様な作品が含まれていることを期待してしまうが、これは一色といっていいだろう。それも極度に陰鬱な色合いだ。表題作の『アサイラム・ピース』は、精神を病んだ患者のため...
急激な氷河期の到来で人類をはじめとする生命が滅亡に瀕するというまさにSF的なシチュエーション。とある国の諜報活動に携わっている男が語り手。彼はアルビノで銀色の髪の少女(といっても20歳過ぎで人妻だが)を偏愛している。ひとり旅だった少女を男は追いかけて小さな国にたどり着く。その国は...