森のくまさん
Q
森のくまさんの歌詞って変じゃありませんか?
A
変です。でも、日本語の歌詞は思っていたほどではありませんでした。ぼくの記憶の中では、「落し物」が「贈り物」になり、「イヤリング」が「ネックレス」になるなど、よりわけのわからない形に改竄が加えられていました。
実際の歌詞は、記憶していたのより穏当で、おかしいのは「スタコラサッサッサノサ」くらいでした、
では、なんでここに書いているかというと、英語の原詞がより一層わけがわからなくておもしろいからです。まず原詞ですが、こんなです。
The other day, I met a bear
a great big bear away up there
I looked at him he looked at me
I sized up him he sized up me
he said to me why don’t you run
I see you ain’t got any gun
and so I ran away from there
but right behind me was that bear
in front of me there was a tree
a great big tree oh glory be
the nearest branch was ten feet up
I’d have to jump and trust my luck
and so I jumped into the air
but I missed that branch on the way up there
now don’t you fret now don’t you frown
‘cause I caught that branch on the way back dow
this is the end
there ain’t no more
unless I meet that bear once more
and so I met that bear once more
now he’s a rug on my cabin floor
以下はぼくの訳です。
ある日そこでとても大きなくまに会った
くまとぼくはおたがいを見て品定めする
くまはいった 「銃がないのになぜ逃げないんだ?」
それでそこから逃げ出したけど、すぐ後ろにはあのくまがいる
おっと、目の前にとても大きな木があった
一番低い枝は10フィート上だ。ジャンプして運を信じなきゃ
それで空中にジャンプしたけど、はねすぎて枝をつかみそこねた
さあやきもきしないで、むかむかしないで
落ちるときに枝にしがみついたからね
起きたことはそれだけ、あのくまにまたあうまではね。
そう、ぼくはあのくまにもう一度会ったのです
今はぼくの小屋の敷物だよ
どうでしょう。貝殻のイヤリングもお礼の歌もありません。このおおらかなばかばかしさに比べて、馬場祥弘さんの書かれた日本語の詞はなんか良識的にまとまってしまっている感じがします。原詞のばかばかしい感じを随所で出そうという努力のあとは見られますが、くまとなかよくなるというコンセプトが迎合的でだめです。