Indian Summer
Q
晩秋から初冬にかけて暖かい日が続くことを、日本語では「小春日和」といいます。「小春」は陰暦10月の異称ということなので、「小春」が先か「小春日和」が先か、鶏と卵みたいな話になりそうですが、いずれにせよ春のような気候ということなんでしょうね。さて、こういう気候を英語では “Indian Summer"というそうですが、こちらの語源はなんでしょう?
A
英国で古くから使われている言葉だとすると"Indian Summer"の “Indian"はインドなのでしょうが、アメリカ生まれの言葉のようで、“Indian"はアメリカインディアンを指します。
Word and Phrase Originsによれば語源の説は3つあります。
- インディアンは夏の間活発に活動し、植民者に襲撃をおこなったりした。秋が深くなると、その頻度が少なくなって穏やかに過ごせるはずなのに、暖かい日が続いてしまうと、また襲撃の心配をしなければならない。それでいまいましさをこめて"Indian Summer"と呼ぶ。
- インディアンが居住していた内陸部のほうが、植民者が住んでいた沿岸部より、そういう気候が多く発生したため。
- “Indian"という言葉は「偽の」とか「安っぽい」という意味の使われ方をする。この場合も、夏みたいな気候だけど実はちがう「偽の夏」ということで、“Indian Summer”。
“Indian Summer"という言葉が一般的になったのは18世紀の終わり以降なので、その頃には植民者の支配権が確立していたことを考えると、1番目の説はそのままだと信憑性が少ないようです。この説の変形として、インディアンの収穫とか冬の準備などの活動が、この暖かい時期を選んで行われたからだ、という説もあります。
3番目の説は、英国でほぼ同じ意味の言葉の “St.Martin’s Summer"の"St.Martin’s"がやはり「偽の」という意味を持つようなので、1つ傍証があるということになりますが、そうだとすると、あまり気持ちのいい言葉ではないですね。
ところで、“Indian Summer"にはもう一つ、「(人生の晩年などの)落ち着いた幸福な一時期」という意味もあるそうです。