樽と桶
Q
木製の、液体を入れるように出来ているものというイメージを持ってしまう、樽(たる)と桶(おけ)の違いは何でしょうか?ふたがあるなしで判断して良いですか?(ひろ=hiroさんからの質問)
A
確かにあらためて考えるとよくわからないですね。広辞苑第五版では、桶は「転じて、細長い板を縦に並べ合せて円筒形の側がわをつくり、底をつけ、たがで締めた入れもの。金属製その他もある。多く水などを盛り、または漬物をするのに用いる」だそうです。(転じる前は「績(う)んだアサを入れておく器。ヒノキの薄板の曲げ物。おごけ」を意味していたようです。これはこれで薀蓄ですね。)対して、樽は「酒・醤油などをいれる木製の容器。桶に似て蓋をしたもの」で、まさに蓋がキーポイントのようです。
ここで思い浮かんだのが棺桶です。あれは桶だけど、蓋があるし、それ以前に円筒形でもないぞ。そう思いました。しかし、時代劇、たとえば黒沢明の『用心棒』なんかを見るとわかりますが、昔の日本では桶に死体をいれて運んだんですよね。でもさすがに蓋はしたと思うんですけど。あと、風呂桶にも保温用の蓋がありますよね。
というより、桶にも蓋をすることはあるけど、それは桶には含まれない、桶の一部ではない、ということなのかもしれません。一方、樽の蓋は樽の一部です。
もう一つ気がついたのは、「酒・醤油」という例からわかるように、樽は貯蔵に重点があるということです。桶は運搬など、一時的な目的に使われる気がします。貯蔵するためには蓋が必須。ということで、やはり蓋なのでしょうね。