土用の丑の日

Q

土用の丑の日にはうなぎを食べることになっているようですが、「土用の丑の日」というのはどのように決まって、どのような性格を持った日なのでしょう。

A

土用の丑の日にはうなぎを食べるというのは、江戸末期に平賀源内がうなぎ屋に頼まれて考え出したというのが定説になっています。また、うなぎはビタミンAやビタミンEが豊富で、夏バテ解消に多少なりとも効果があるのは間違いなさそうです。今回は、うなぎを追求するのはやめて、純粋に「土用の丑の日」にスポットライトをあてます(最近、岡野玲子『陰陽師』を読んでいるので、陰陽道的にいってみます)。

まず「土用」です。陰陽道の根幹をなす五行思想では何でも木・火・土・金・水という五つの属性に分類します。季節も、春=木、夏=火、秋=金、冬=水と対応付けがされていて、余った「土」は季節を循環させる役目をにない、それぞれの季節の終わりの18日間(太陽黄経によって決めているため19日間の場合もあります)に「土用」と呼ばれる期間がおかれます。いまでは夏の終わりの「土用」のみが残っているというわけです。今年(2001年)の場合は7月20日が土用の入りで、立秋前日の8月6日まで続きます。

次に「丑」ですが、これはいわずとしれた十二支の二番目です。年に十二支が割り当てられているように、日にも割り当てられていて、子・丑・寅…と順に変わっていきます。そういうことなので、土用の丑の日が二回ある年もあります(最近では1999年)。

実は、以下の図に示すように、十二支と五行は密接に関係しています。本来夏の終わりの「土用」だと、対応する十二支は「未」ですが、同じ土用でもその対極にある「丑」の日が選ばれています。なお、蛇足ですが、「丑」は「紐(から)む」に通じ、植物の成長にたとえると芽が種子の内部にまだ生じていない状態を指すようです。

平賀源内がうなぎの日に「土用の丑の日」を選んだ理由は伝わっていませんが、わざわざ対極の日をもってくるあたり、陰陽道が深く紐(から)んでいそうな気がしますね。

参考文献:岡野玲子(原作:夢枕獏)『陰陽師 6 貴人』