昨日の祝賀会『冬の短編』

omote

短編集だし脱力系の歌が冒頭や途中にはさみこまれるから、気を抜いてみていると、にじみ出てくる毒にあてられる。思ったより骨太な芝居だったのだ。

最初この「昨日の祝賀会」というユニットの性格を知らず、なぜ永井若葉さんが前面に立ち続けすべてをかなぐり捨てる奮闘をしているのかわからなかったが、なんと彼女、光瀬指絵、ふじきみつ彦3人のユニットなのだった。てっきり岡部たかしさんが中心人物だと思っていた。いや、城山羊の会での彼の演技がとても好きで、今日もそれで見にいこうと思ったのだ。

人からの依頼を断ることの出来ない女の子の話(「流れる」)、山に向かうロープウェイが途中でとまり、乗り合わせた人々には意外な共通点が……(「冬のロープウェイ」)、ソープに勤めたはじめた自意識過剰な女の子と奇妙な最初の客(「ワカバの話」)、産婦人科医院の庭で芋を焼きながら病院を変える理由を話す夫婦と主治医(「冬の焚き火」)、いきなりほぼ全裸で男女が絡み合う刺激的なシーンからはじまる「気立てのいいワンさん」の五編。好みは、ふじきみつ彦作の「冬のロープウェイ」と「冬の焚き火」。こういう微妙なおかしさがたまらない。

作:ふじきみつ彦、山内ケンジ、永井若葉、岩井秀人+平原テツ、演出:岡部たかし/座・高円寺1/指定席3000円/★★★

出演:永井若葉、光瀬指絵、岡部たかし、清水葉月、松浦祐也、岩谷健司