東京デスロック『再/生』
演出:多田淳之介/STスポット/前売(事前入金)2500円/2011-07-24 15:00/★★
出演:夏目慎也、佐山和泉、佐藤誠、間野律子、石橋亜希子、坂本絢
未見だが、2006年に上演された『再生』という作品がベースになっているらしい。今回、同じタイトルで、出演者の違う2つのバージョンがあり、ひとつは純度の高い東京デスロックバージョン、もうひとつが中野成樹とフランケンズと組んだバージョンとなっている。内容的にはそんな変わらないだろうと思っていたので、最初にみるならこっちかなと、劇団メンバー主体のバージョンを選んだ。
この2つのバージョンは結果としてまったく別物になっていることを劇場にきてはじめて知った。フランケンズバージョンは、オリジナルの『再生』に近くて、一応ストーリーと台詞があるらしいが、ぼくがみたのは、オリジナルからエッセンスだけを抜き出し、まったく別の形に再構成したものだった。
最初若い女性がひとりであらわれて、奇妙な振りをつけながら、わたしは今幸せについて考えています、なんていうことをいってチェルフィッチュみたいだなと思う。その印象は最初だけで、そのあとはずっと、続いてあらわれた5人の男女とあわせて、計6人が、それぞればらばらに、静と動さまざまな身体動作を繰り返し、1時間以上ずっとそれが続いた。
たぶん、『再生』をみたことないがないぼくはまずフランケンズバージョンの方を見るべきだった。それは間違いない。エッセンスの部分をつかみ損ねていると思う。でも、これはこれで、興味深いものを見た気がする。俳優たちが自分の肉体を酷使しておこなっている一見無意味な動きは、虚構ではなくリアルな出来事であり、そこから目を離すことができなかった。また、個々人のばらばらな動きがシンクロする瞬間があり、なんだかとても音楽的だと思ったのだった。