『叔母との旅』
原作:Graham Green、脚色:Giles Havergal(翻訳:小田島恒志)、演出:松村武/青山円形劇場/指定席6000円/2010-08-21 19:00/★★★
出演:段田安則、浅野和之、高橋克美、鈴木浩介
8月観にいく芝居が一本もないなと思っているところに、フライヤーをみて、タイトルと、四人のそれぞれ個性的な俳優たちにひかれて観にいくことにした。
銀行に長年勤めて早期退職したヘンリーの唯一の楽しみは庭のダリアの花。母の葬儀の日、そんな彼の前に長年音信不通になっていた叔母オーガスタがあらわれる。自由奔放な彼女に翻弄されて世界各国を飛び回り、ヘンリーの人生は変わる。
鈴木浩介が眼鏡はずすと最初誰だかわからず、往年のケイリー・グラントみたいな二枚目だと思ったが、その印象はある意味あたりで、ケイリー・グラントが主演してヒッチコックが監督しそうな物語だった。主人公ヘンリーは4人の俳優で代わる代わる演じられる。その演出がリズミカルで面白かった。オーガスタを服装は男のままで一人で演じた段田安則もよかった。
ゆっくりと人生が幕をおろそうとする時期に、まったく予期していなかった新しい人生が開ける。思春期に誰しもがボーイ・ミーツ・ガールの物語を夢見るように、ある程度年齢のいった人間が夢見る夢物語かも知れない。それにまんまと勇気づけられてしまったということは、ぼくもだんだんそういう年齢に近づいているということかもしれない。