KERA・MAP『修道女たち』
前回のナイロン本公演はいつもの本多劇場ではなく芸劇だったが、今回のKERA・MAPが本多。劇団員が3人でているし、むしろこっちが本公演のような気がしてくる。
新しい国王から嫌われて迫害されるようになった宗教の修道女たちが主人公。47人いた修道女たちのうち43にんが国王の陰謀で毒殺され残った4人に、新たに加入した資産家の母娘を加えた6人で細々と修道院を運営している。彼らは年来の習慣で山間の村の近くに山荘に出向くがそこにも国王の魔の手が及んでいた。村娘オーネジーと彼女を慕う帰還兵テオを加えて悲劇の幕が上がる。
プロジェクションマッピングを多用した舞台美術が美しい。特に終盤、みんなでワインを飲んだあと旅立つシーンは圧巻だった。ここで終えるべきだったんじゃないかと強く思ってしまった。確かにその時点で回収されてない伏線もあるし、ほんとうのラストに使われたシーンも美しくて、舞台に出現させたかったという気持ちはとてもよくわかる。でも、その結果雑味が残ってしまった気がする。テオが帰還した理由や変容のエピソードもいらない。旅立ちのシーンでオープンに終わらせた方がすっきりと水のような後味で終われたと思う。
まあ、でもこの雑味こそが、ケラさんの持ち味なのかもしれない。
役者では伊勢志摩さんと鈴木浩介さんがよかった。
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ/本多劇場/指定席7400円/2018-10-27 18:00/★★★
出演:鈴木杏、緒川たまき、鈴木浩介、伊勢志摩、伊藤梨沙子、松永玲子、みのすけ、犬山イヌコ、高橋ひとみ、(声:林原めぐみ)