青年団リンク キュイ『止まらない子供たちが轢かれてゆく』
キュイダブルヘッダーの1本目。まったく前提知識なしにはじめてのキュイだったのだが思ったよりずっと楽しめた。若い世代のつくる演劇は情感ドリブンのものが多い気がしていたけど、綾門優季の戯曲は言葉の放つパワーが生半可でない。そのパワーの強烈さ故に上滑りしかねない戯曲を適切にサンプリングしてリズミカルに舞台の上でまとめあげる得地弘基の演出がこれまた素晴らしい。ふたりの方向性はかなり異なっているように思われるのだけど、それだからこそコラボレーションがうまくいっている気がする。
学校という閉鎖空間を舞台に、学級裁判による特定生徒への暴力・排除、生徒の飛び降り等の問題に翻弄される生徒や教師たちをシリアスにときにコミカルに描く。HIP-HOPのマイクの回しあいみたいにモノローグ主体の運びに最初違和感を感じたがいつの間にかどっぷりはまりこんでいた。
作:綾門優季、演出:得地弘基/アトリエ春風舎/自由席2500円/2016-06-26 14:00/★★★
出演:石松太一、串尾一輝、坂倉花奈、鶴田理紗、新田佑梨、コウダケンタロヲ