innerchild『ククリの空〜青ゐ鳥』

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作・演出:小手伸也/時事通信ホール/指定席3800円/2009-05-03 12:00/★★

出演:菊岡理紗、前田剛、戸田朱美、中谷千絵、工藤潤矢、赤松直美、貝塚建、渡部晶子、仗桐安、坂本文子、大沼優記、中山智香子、武智健二、小柳こずえ、加藤和久、小手伸也、石川カナエ、初谷至彦、北川義彦、柳田幸則、小暮絹誉、桃森すもも、MIO、西川小喜

なんと正午からの観劇。頭が冴え渡っている、といえば嘘になる。

innerchild の舞台では現代を生きるふつうの人々を神話の中の登場人物に見立てるということがよく行われる。今回も例外ではなく、子供が欲しくて不妊治療中の夫婦を古事記、日本書紀の国生み神話のイザナギ、イザナミに見立て、さらにその子供たち(アマテラス、ツクヨミ、スサノオ)の世代および邪馬台国の時代の政争をからめている。

他方、イザナギとイザナミの間を仲裁したと伝えられるククリヒメという存在にスポットライトをあてて、彼女を彼らの間のいまだ生まれない子供として再創造している。彼女は、人間に子供をもたらす役目を司る青い鳥たちに翻弄されながら、自分が存在する意味を見つけ出そうとする……。

複雑なストーリーをシンプルな情感にまとめあげる手腕は相変わらず見事。ただ、今回それが成功しすぎたというか、結果的に小さくまとまってしまったというか、ラストは無理にあからさまなハッピーエンドにせず、もう少しいろいろ想像させる余地があってもよかったかなと思う。