ペンギンプルペイルパイルズ『審判員は来なかった』
作・演出:倉持裕/シアタートラム/指定席4300円/2008-07-12 19:00/★★
出演:小林高鹿、ぼくもとさきこ、玉置孝匡、近藤智行、吉川純広、安藤聖、片桐仁
独立したばかりの小国パリエロを舞台にしたスラプスティックコメディー。大統領官邸、富裕な農民一家、新たな国技を生み出すために集まった審判員と選手たち、パリエロの国教パリエロ正教の大聖堂という4つの場面を、順繰りに俳優たちが渡り歩き、それぞれ複数の役を演じている。
片桐仁の存在感はすごいし、要所要所のギャグも決まっていたし、笑いのなかにさりげなくまぎれこんだテーマ(ナショナリズム)も奥深い。でもなぜかぼくは、物足りなさを感じて、もっとよくできたのではないかと思ってしまった。理由を考えてみると、ひとつには俳優が複数の役を演じることで人物のリアリティが希薄になってしまったことと、もうひとつはメインストーリーとバックストーリーが同じ重みで描かれているので、ストーリーが散漫になってしまったということのような気がする。たぶん、農家と大聖堂はいらなかった。