innerchild『アメノクニ/ヤマトブミ~Children Of the Sun~』
作・演出:小手伸也/吉祥寺シアター/指定席3800円/2007-09-08 19:00/★★
出演:進藤健太郎、石川カナエ、小手伸也、土屋雄、宍倉靖二、春名舞、三宅法仁、暮澄真記、小田篤史、三原一太、山森信太郎、松崎映子、石橋晋二郎、菊岡理紗、高山奈央子、久保田芳之、高見靖二、前田剛、狩野和馬、金順香、古澤龍児
前作『アメノクニ/フルコトブミ』のダイレクトな続編でストーリーや主要な登場人物が共通だ。ところどころ前作のヴィデオが流れてストーリーを把握するための導線はあるものの、前作をみていない人は、感情移入しにくかったのではないかと、余計な心配をした。
さて、前作から引き続き、国史編纂に極東の近代史をかぶせるというとても手の込んだ意欲的なストーリー。前作はフルコトフミすなわち古事記の完成と満州国建国までだったが、今回はヤマトブミすなわち日本書紀の編纂と太平洋戦争の敗戦後を描いている。と同時に前作でにおわされていたストーリーの三層目が明らかになってくる。近代史の枠組のアナロジーではアメノクニ=アメリカとなっているが、実はアメノクニ=はるか未来の日本なのだ。
この三層目を持ち込むことによって、この物語が単にもうひとつの「国史」になってしまいかねないところに、別の広がりを与えているのだけど、残念ながらその部分は十分なリアリティが感じられるほど描けておらず、中途半端に細部が語られることで、逆にリアリティが拡散しているような気がした。描くならもっとちゃんと描くか、あるいは逆に観客の想像力にゆだねた方がよかったと思う。