ユーリカ
疲れている。
誰もができることを満足にできないぼくではあるが、まれに誰もできないことをできたと思える瞬間がある。それは刹那的な直観のたまものであり、次に似たような状況が訪れたとしても、同じようにできるかどうかはまったくわからない。つまり、たまたまできたにすぎないのだ。
だから、わたしはこれができますとアピールすることはできないし、主にせっぱつまったときに発揮されるので、やばいことがそれほどやばくならずにすむだけで、何ら利益や利便を生み出すものではない。
ぼくはその能力ともいえない能力によりかかって、地上5cmの高さで、見物客が誰もいない綱渡りをしているのかもしれない。
でも、偶然のひらめきが訪れるたび、ぼくは叫び続けるだろう、「ユーリカ」と。