今回は接続法。事実ではなく主観を述べるときに使う用法です。嘘とか間違いとか空想とかいうのではなく、その事柄を「」の中に入れてネタとして使うという感じです。たとえば『「宝くじで100万円あたった」わけがない』とか。この場合、「」の中だけ立ち聞きされると、ほんとうにあたったと思われてしまうわけですけど、接続法で述べておけばその心配がなくなるわけです。
使い方はそれほど難しくありません。まず、必ず従属節の中で用いられます。主節の中で用いられることはありません。またこういう場合は接続法というパターンがいくつか決まっていて辞書に載っています。たとえばクラウン仏和辞典だと、 _sub._と書かれているところが接続法を使うことを意味しています。
活用
接続法にも現在、半過去、過去、大過去という時制がありますが、ここでは現在形のみ紹介します。
原形
|
<th>
一人称単数
</th>
<th>
二人称単数
</th>
<th>
三人称単数
</th>
<th>
一人称複数
</th>
<th>
二人称複数
</th>
<th>
三人称複数
</th>
avoir
|
<td>
aie
</td>
<td>
aies
</td>
<td>
ait
</td>
<td>
ayons
</td>
<td>
ayez
</td>
<td>
aient
</td>
être
|
<td>
sois
</td>
<td>
sois
</td>
<td>
soit
</td>
<td>
soyons
</td>
<td>
soyez
</td>
<td>
soient
</td>
aimer
|
<td>
aime
</td>
<td>
aimes
</td>
<td>
aime
</td>
<td>
aimions
</td>
<td>
aimiez
</td>
<td>
aiment
</td>
finir
|
<td>
finisse
</td>
<td>
finisses
</td>
<td>
finisse
</td>
<td>
finissions
</td>
<td>
finissiez
</td>
<td>
finissent
</td>
valoir
|
<td>
vaille
</td>
<td>
vailles
</td>
<td>
vaille
</td>
<td>
valions
</td>
<td>
valiez
</td>
<td>
vaillent
</td>
vouloir
|
<td>
veuille
</td>
<td>
veuilles
</td>
<td>
veuille
</td>
<td>
voulions
</td>
<td>
vouliez
</td>
<td>
veuillent
</td>
ouvrir
|
<td>
ouvre
</td>
<td>
ouvres
</td>
<td>
ouvre
</td>
<td>
ouvrions
</td>
<td>
ouvriez
</td>
<td>
ouvrent
</td>
venir
|
<td>
vienne
</td>
<td>
viennes
</td>
<td>
vienne
</td>
<td>
venions
</td>
<td>
veniez
</td>
<td>
viennent
</td>
courir
|
<td>
coure
</td>
<td>
coures
</td>
<td>
coure
</td>
<td>
courions
</td>
<td>
couriez
</td>
<td>
courent
</td>
lire
|
<td>
lise
</td>
<td>
lises
</td>
<td>
lise
</td>
<td>
lisions
</td>
<td>
lisiez
</td>
<td>
lisent
</td>
voir
|
<td>
voie
</td>
<td>
voies
</td>
<td>
voie
</td>
<td>
voyions
</td>
<td>
voyiez
</td>
<td>
voient
</td>
acheter
|
<td>
achète
</td>
<td>
achètes
</td>
<td>
achète
</td>
<td>
achetions
</td>
<td>
acheiez
</td>
<td>
achètent
</td>
prendre
|
<td>
prenne
</td>
<td>
prennes
</td>
<td>
prenne
</td>
<td>
prenions
</td>
<td>
preniez
</td>
<td>
prennent
</td>
mettre
|
<td>
mette
</td>
<td>
mettes
</td>
<td>
mette
</td>
<td>
mettions
</td>
<td>
mettiez
</td>
<td>
mettent
</td>
aller
|
<td>
aille
</td>
<td>
ailles
</td>
<td>
aille
</td>
<td>
allions
</td>
<td>
alliez
</td>
<td>
aillent
</td>
dire
|
<td>
dise
</td>
<td>
dises
</td>
<td>
dise
</td>
<td>
disions
</td>
<td>
disiez
</td>
<td>
disent
</td>
faire
|
<td>
fasse
</td>
<td>
fasses
</td>
<td>
fasse
</td>
<td>
fassions
</td>
<td>
fassiez
</td>
<td>
fassent
</td>
connaître
|
<td>
connaisse
</td>
<td>
connaisses
</td>
<td>
connaisse
</td>
<td>
connaissions
</td>
<td>
connaissiez
</td>
<td>
connaissent
</td>
例
まずは典型的な例から
Je ne crois pas qu'il vienne.(わたしは彼が来るとは思わない)
「彼が来る」というネタを主節で「思わない」と否定しています。そういうときは接続法を使います。
Je crois qu'il vient.(わたしは彼が来ると思う)
対照的にこの場合は、「彼が来る」のはネタではなく事実です。そういう場合は直説法です。
いくつか接続法の例を見てみましょう。
Je suis content que vous me invitiez.(お招きいただいてうれしいです)
招いてもらったのは事実でしょうから、これは直説法でも可な例です。事実かどうかは問題ではなく、そのことをネタとしてうれしいという気持ちを伝えるので接続法です。
Il faut que nous travaillions bien.(われわれはしっかり働かなければならない)
faut(=falloir)「~でなければならない」では「~」の部分はネタとして扱われます。
副詞との組み合わせ
このほか副詞と組み合わせることにより、目的や譲歩をといったような特殊な意味をもちます。
- pour que 接続法
- ~するために
- sans que 接続法
- ~しないで
- à moins que 接続法
- ~しないと
- bien que
- ~とはいえ
Courez pour que vous attrapiez le train.(電車に間に合うように走りなさい)
Bien qu'il preuve, il fait chaud.(雨が降ってはいるが暖かい)
完結
さてこれで一応このコーナーでとりあげようと思っていた内容は一通り書いたつもりです。ここまでくるまでに予想外にたくさんの時間がかかってしまいました。
今後ですが、まずは間違いとか、わかりにくいところとか、構成を変えたほうがいいとかいろいろあると思うので、その辺を見直すことにします。そのあとは辞書のページを充実させたり、フランス語の詩を読むページを作るとか、そんなこともやろうかとも思っています。
まあ、とりあえずはいったん完結ということで…
Au revoir, tout le monde.