これまで触れなかった4つの時制、単純過去、大過去、前過去、前未来を紹介します。
単純過去
会話には使われず文章のみに使われます。過去のある時点のできごとを表します。複合過去には4つの用法、完了・継続・経験・過去の一点というのがありましたが、そのうち「過去の一点」を表現するときのみ文章では単純過去を用います。他の3つの用法は文章でも複合過去を用いるので注意してください。なお、「単純」というのは「助動詞をとらない」ということです。別に簡易版とかいうのではありません。
活用
「単純」という名前とうらはらに活用は簡単ではありません。一応基本的な動詞について活用を紹介しておきます。
原形
|
<th>
一人称単数
</th>
<th>
二人称単数
</th>
<th>
三人称単数
</th>
<th>
一人称複数
</th>
<th>
二人称複数
</th>
<th>
三人称複数
</th>
avoir
|
<td>
eus
</td>
<td>
eus
</td>
<td>
eut
</td>
<td>
eûmes
</td>
<td>
eûtes
</td>
<td>
eurent
</td>
être
|
<td>
fus
</td>
<td>
fus
</td>
<td>
fut
</td>
<td>
fûmes
</td>
<td>
fûtes
</td>
<td>
furent
</td>
aimer
|
<td>
aimai
</td>
<td>
aimas
</td>
<td>
aima
</td>
<td>
aimâmes
</td>
<td>
aimâtes
</td>
<td>
aimèrent
</td>
finir
|
<td>
finis
</td>
<td>
finis
</td>
<td>
finit
</td>
<td>
finîmes
</td>
<td>
finîtes
</td>
<td>
finirent
</td>
valoir
|
<td>
valus
</td>
<td>
valus
</td>
<td>
valut
</td>
<td>
valûmes
</td>
<td>
valûtes
</td>
<td>
valurent
</td>
vouloir
|
<td>
voulus
</td>
<td>
voulut
</td>
<td>
voulut
</td>
<td>
voulûmes
</td>
<td>
voulûtes
</td>
<td>
voulurent
</td>
ouvrir
|
<td>
ouvris
</td>
<td>
ouvris
</td>
<td>
ouvrit
</td>
<td>
ouvrîmes
</td>
<td>
ouvrîtes
</td>
<td>
ouvrirent
</td>
venir
|
<td>
vins
</td>
<td>
vins
</td>
<td>
vint
</td>
<td>
vînmes
</td>
<td>
vîntes
</td>
<td>
vinrent
</td>
courir
|
<td>
courus
</td>
<td>
courus
</td>
<td>
courut
</td>
<td>
courûmes
</td>
<td>
courûtes
</td>
<td>
coururent
</td>
lire
|
<td>
lus
</td>
<td>
lus
</td>
<td>
lut
</td>
<td>
lûmes
</td>
<td>
lûtes
</td>
<td>
lurent
</td>
voir
|
<td>
vis
</td>
<td>
vis
</td>
<td>
vit
</td>
<td>
vîmes
</td>
<td>
vîtes
</td>
<td>
virent
</td>
acheter
|
<td>
achetai
</td>
<td>
achetas
</td>
<td>
acheta
</td>
<td>
achetâmes
</td>
<td>
achetâtes
</td>
<td>
achetèrent
</td>
prendre
|
<td>
pris
</td>
<td>
pris
</td>
<td>
prit
</td>
<td>
prîmes
</td>
<td>
prîtes
</td>
<td>
prirent
</td>
mettre
|
<td>
mis
</td>
<td>
mis
</td>
<td>
mit
</td>
<td>
mîmes
</td>
<td>
mîtes
</td>
<td>
mirent
</td>
aller
|
<td>
allai
</td>
<td>
allas
</td>
<td>
alla
</td>
<td>
allâmes
</td>
<td>
allâtes
</td>
<td>
allèrent
</td>
dire
|
<td>
dis
</td>
<td>
dis
</td>
<td>
dit
</td>
<td>
dîmes
</td>
<td>
dîtes
</td>
<td>
dirent
</td>
faire
|
<td>
fis
</td>
<td>
fis
</td>
<td>
fit
</td>
<td>
fîmes
</td>
<td>
fîtes
</td>
<td>
firent
</td>
connaître
|
<td>
connus
</td>
<td>
connus
</td>
<td>
connut
</td>
<td>
connûmes
</td>
<td>
connûtes
</td>
<td>
connurent
</td>
これだけならべるとさすがに規則性が浮かび上がってきますね。-er動詞とそれ以外で大きく分かれて、-er動詞以外の語幹は過去分詞と同じものが多いことがわかります。êtreはなんか信じられない変化をしてますね。どこから"f"が出てきたんでしょう。
例を一つだけ。小説の中の一文と思ってください。
Il ouvrit la porte à ce moment. (彼はそのときドアを開けた)
口語では複合過去を使って以下のようにいいます。
Il a ouvert la porte à ce moment.
大過去
こちらは会話の中でもよく使われる表現です。フランス語では"Plus-que-parfait"(完了以上)といわれるように。複合過去や単純過去でいい表わされる時点よりさらに過去をふりかえって述べるときに使います。英語でいうと過去完了形に相当します。語形は以下の通りです。
助動詞の半過去形 + 過去分詞
Elle avait déjà lu le livre qu'il a acheté.(彼女は彼が買った本をすでに読んでしまっていた)
Quand je suis arrivé à la gare, il était rentré.(わたしが駅に着いたとき、彼は帰った後だった)
このほか、半過去のところで述べたような感情的な含みを伝えることもあります。半過去が現在の状態に未完という含みをもたせたように、大過去は過去のできごとに未完という含みをもたせます(約束した[ことを果たしていない]とか、いった[ことを信じていない]とか…)。
Tu m'avais promis de rentrer à cinq heures. (君は5時に帰ると約束したのに)
前過去
前過去も単純過去同様文章にしか使いません。大過去同様、過去のある時点からさらに過去を振り返るときにつかいます。語形は以下の通りです。
助動詞の単純過去 + 過去分詞
Le nez de Cléopâtre : s'il eut été plus court, toute la face de la terre aurait changé. (クレオパトラの鼻:もしそれがもっと低かったら、地球の姿は変わっていただろう)
前未来
未来の時点で完了していることを振り返ります。また、完了したことを推測する場合にも使います。
助動詞の単純未来 + 過去分詞
Le jeu aura fini à sept heures.(試合は7時には終わっているでしょう)
Il sera mort dans l'auto. (彼はきっと車の中で死んでしまった)