大塚英志『木島日記 乞丐相』

木島日記 乞丐相 (角川文庫)

『木島日記』のシリーズの第二弾。同名のコミックの方が先で、それをノベライズしたものだそうだ。まだ読んだないが『キャラクター小説の作り方』という文章を書いた人だけのことはあって、キャラクターの作り方がとてもうまい。二冊目になってさらに登場人物のキャラがたってきた。一種シチュエーションコメディーといってもよくて、キャラクターが動くだけで、物語が成立してしまうのだ。ぼくは中でも、天真爛漫で自己中心的な、水死体研究家、土玉氏が好きだったりもするのだが。

三編収められているが、完成度が高いのは表題作の『乞丐相』。「乞丐」というのは辞書によれば乞食のことだけど、それに「相」がつくと、「兄弟ヲコロシテ家ヲウバウ相」つまりそういう人相のことをいうらしい。

★★★