大塚英志『木島日記』

木島日記

コミックにもなっているが、こちらは小説版。『陰摩羅鬼の瑕』の流れで、おどろおどろしいエンターテイメントが読んでみたくなったので手に取った。民俗学者、詩人として有名な折口信夫が遺したとされる日記に書かれている奇妙な出来事を大塚英志本人と思われる作者が再構成しているというスタイル。

昭和十年前後というきなくさい時代が舞台。軍部は、死人の甦生、生きている人間を利用したコンピュータ、キリストの日本渡来説と偽天皇、赤ん坊を食らう不老不死の女など、さまざまなオカルティックな研究を進めていた。その中からこの世にあっていいものといけないものを仕分けるのが仕分け屋木島平八郎の仕事だ。折口信夫は、木島との不思議な縁で、半ば無理やり事件に関わらされる・・・。

ちょっと文章にくせがなさすぎて物足りない気もするが、登場人物のキャラクターもたっているし、良質なエンターテイメントではないでしょうか。

★★