速水健朗『都市と消費とディズニーの夢——ショッピングモーライゼーションの時代』

都市と消費とディズニーの夢  ショッピングモーライゼーションの時代 (oneテーマ21)

思想地図β Vol.1』の特集の著者執筆パートの拡大版。経済効率の重視や市場原理の徹底によって都市の公共機能が変化し、都市がショッピングモールと一体化していく「ショッピングモーライゼーション」(著者の造語)という現象について書かれている。

第一章は、都市とその中の公共施設の変化について。公共施設の中に民間のカフェなどが入るようになったことなど。第二章はウォルト・ディズニーの軌跡をたどりながら彼が追いかけた夢とショッピングモールの関係からショッピングモールの根源をさぐる。第三章はアメリカを中心にショッピングモールの歴史をたどり、第四章では、鉄道主体の日本の郊外におけるローカライズされたショッピングモールの成り立ちと、従来百貨店など大型ショップが核となって構成されたショッピングモールが多様化し、カジノホテル、テーマパーク、テレビ局などさまざまな施設とショッピングモールが融合していく「ショッピングモーライゼーション」の現状について語られている。

「ショッピングモーライゼーション」という言葉で、何気なく意識していた都市の変化を表面に浮かび上げている。それがいいこととも悪いことともいってないし、その先にある社会や市民生活の変化について掘り下げるところはこの本の範囲外。さらなる調査、考察が待たれる。

★★