横山裕一『トラベル』

トラベル (Cue comics)

最新作の『NIWA』よりこちらの方が完成度は高いと思う。『NIWA』はギミックの面白さが優先という感じだったが、『トラベル』は完全にアートだ。

三人の男が列車に乗って目的地まで旅をする。徹頭徹尾ほんとうにそれだけで、セリフも文字による説明はまったくなく車内や車窓の奇妙な光景が描写されるのだけど、とにかくかっこいい。どのコマも決定的瞬間をとらえた写真のように構図がすばらしくて、まるで写真集でもみるように一コマ一コマ丁寧に鑑賞したのだった。

本筋には関係ないが、『NIWA』もこの作品も登場するのは男性(というか地球人かどうかもよくわからないので男性型ヒューマノイドというべきか)ばかりで、特にこの作品は、主人公とほかの乗客の視線が沈黙のうちにからみあうところに、妙にホモセクシャルなものを感じた。考えすぎだろうか。

お勧め★