横山裕一『NIWA』
絵を見てもそれがなかなかその場面の意味内容と結びつかないせいなのか、どうもコミックを読むのは苦手で、ここでコミックを紹介するのは高野文子『黄色い本』に続いて二度目だったりする。
はじめて横山裕一の作品を見たのは六本木の森美術館で、コミックのページが現代美術の作品として展示されていることはさておいても、そのシュールな内容に度肝を抜かれたのだった。
単行本三作目の『NIWA』はさまざまなギミック盛りだくさんの広大な庭園を巡り歩くというただそれだけのストーリー。自然の見せかけの合目的性を、その行き当たりばったりなところを含めて人工的な論理でシミュレートした世界が描かれている。それは自然そのものより、雄大で崇高だったりもするのだ。