舞城王太郎『世界は密室でできている。』

世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS

主人公の少年と親友のルンババが中学3年生から19歳になるまでを描いた青春小説。ふつうの青春小説とちがうのは、彼らの成長の糧になるのが猟奇的な密室殺人事件だということ。といっても事件そのものはルンババのすさまじいばかりの推理力であっけないくらい簡単に解決してしまうのだけど。

舞城王太郎の小説はほとんど福井県西暁町という田舎か、東京都調布市という町のいずれかまたはその両方を舞台にしている。それぞれの作品も独立しているようで、実はかなり関連があるようだ。ほとんど西暁町が舞台になっている『煙か土か食い物』にもルンババという探偵が脇役ででてくる。舞城は脇役にはほんとうに容赦がなくて、ちょっとひどいことになっていた。やっぱり語り手が最強。

★★