舞城王太郎『阿修羅ガール』

阿修羅ガール

「減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。わたしの自尊心」という感じではじまるちょっと暴力的な女子高生が語り手の一人称小説。

好きでもないのについ一緒にホテルに入ってしまった同級生の男子が誘拐されて足の指を送りつけられるというサスペンス仕立ての第一部はちょっと退屈だったが、冥途をめぐるロードムービー的な第二部がすさまじい。第三部が終わっても、結局第一部の事件は解決しておらず忘れさられているのだけど、それはそれでいいような気にさせられる。

もう一編おまけのように収録されている『川を泳いで渡る蛇』は、なんかオーソドックスで、へえこういうのも書くんだと、かえって新鮮な感じがした。