舞城王太郎『煙か土か食い物』
人は死ねば「煙か土か食い物」になる。そうなるまでの間はとにかく全速力で駆け抜けるしかないといわんばかりの、スピード感あふれる文章。その速度の中で、さまざまなことが起きる。
サンディエゴのERに勤める四郎は、母親が頭をなぐられて意識不明になったという知らせをきいて、故郷である日本国福井県西暁町に舞い戻る。そこでは連続主婦殴打生き埋め事件が起きており、四郎の母親もその犠牲者の一人だった。現在進行するむごたらしい事件とアクロバティックな謎解き、回想として語られる奈津川家の年代記。
ダンテの『神曲』を引用するミステリーというよりは、たくみにミステリーを偽装した『神曲』だ。やっぱり舞城はすごい。
★★★