配布されたリーフレットによると、主宰の山本健介さんは去年の半年間金銭的理由で演劇ができずまったく別の賃労働をしていたそうだ。今回の公演の形態はその「できない」から生まれたもので、「演劇ができないのなら、演劇で、演劇ができない、という事をしてみたかった」という通り、「脚本を書いて言葉を固定化させたり、配役や段取りをしっかり決めることはしない」というある意味制約の上に作られている。 ...
12月に見た公演(以下基本版と書く)の拡張版。役者の数が4人から7人に増えていた。時系列的には基本版の後日談で、3人の登場人物がそのままの役柄で登場している。とはいえ、元は妖精の森出身のはずのチロルは前作でもかなり人間化していたが今作ではほぼふつうの人間の女性と変わらないメンタリティと所作を身につけ、前作の主人公だった中大兄妹の兄と同居して恋人関係になっている。そこに加わるのはおなじくボードゲーム愛好家で、東京から中大阿知賀たちが住む街に引っ越してきたエレとその恋人奈良さん。そして近隣のボドゲ仲間根利と自称コミ障の女そつある。 ...
タイトル通りテーマはボードゲーム。この作品のために作ったオリジナルのボードゲームを登場人物4人がテストプレイしているシーンから始まる。ボドゲ作家中大、長らくひきこもりだったその妹個子、中大の恋人というわけじゃないのに彼らと同居している謎の同居人ニホエヨ、そして中大がボドゲ会でひろってきた自称ボドゲ妖精チロル(前作『物の所有を学ぶ庭』にでてきた妖精さんと同名)。彼らのキャラ立ちがすばらしい。 ...
初のジエン社。気まぐれで直前にみにいくことにしたのだが、大正解、こういう演劇にずっと飢えていたのだ。 地獄との通路が開いて人間に有害な胞子が飛びだし森が全世界に広がる。それとともに「妖精さん」と呼ばれる胞子に耐性をもった不思議な人たちが通路を通ってこちらの世界に避難してくる。死に場所を求めている人間は森の奥深くに迷い込む。この物語の舞台は森と人が住む町の境界にある庭。妖精さんたちと、彼らを人間社会に適応させるために教育を施すNPOの人たちとの「触れあい」を描いている。 ...