ウィリアム・フォークナー(加島祥造訳)『野生の棕櫚』

読もうとしたきっかけは1月にみた映画《Perfect Days》で主人公平山が読んでいたからだが、廃刊になっていた本書が再版されたのも映画きっかけだったようだ。訳が生硬くて古いのが難点だが現在気軽に入手できる飜訳はほかになさそうだ。 二つのまったく異なる物語が交互に語られる。ふつうは...

フォークナー(黒原敏行訳)『八月の光』

いつか読もうと思っていたフォークナーの長編にようやくチャレンジ。やはり、最初ははいちばんとっつきやすいという評判の『八月の光』だ。読書でもなんでもきっかけが大事なので、『八月の光』を読むなら八月と思って読み始めたのだが、結局読み終えたのは九月の終わりで、すっかり季節がかわってしま...

『フォークナー短編集』(龍口直太郎訳)

ずっと読むべき作家リストに入りっぱなしだったが、手始めに短編から読んでみる。 収録されているのは以下の作品だ。 嫉妬 赤い葉 エミリーにバラを あの夕陽 乾燥の九月 孫むすめ バーベナの匂い 納屋は燃える 読む前からわかっていたが、やはりフォークナーは長編向きの作家だ。短編でも描写の鮮烈さは感じるも...