『セールスマンの死』

戯曲は読んでいたがようやく舞台をみることができた。演出の長塚圭史さんがCINRA.NETのインタビューで「ほとんど演出の余地がないんです。ト書きまで細かく書き込まれているから、演出家が自分の色を出しにくい」と言っていた通りではあるが、だからこそ、戯曲をそのまま舞台に現出させるという地道な演出の力が求められているともいえる。 その演出のおかげで気づくことがいろいろあった。まず主人公ウィリー・ローマンの妻リンダはそれぞれの家族を一番愛情深く理解している一方で、実は彼の幻想の共犯者だったということ。そして、そういう幻想から自由ですべてが見えているのは仕事が続かず情けない長男ビフなのだ。ただ彼が何を言っても誰も真面目に聞こうとはしない。苦い真実をあえて知ろうとする者はいないのだ。 ...

Arthur Miller "Death of a Salesman"

読もうと思った直接のきっかけはこの前DVDでみて感動した映画 “Synecdoche, New York” の中で主人公 Caden がこの作品を演出するシーンがでてきたりもして、演劇好きとしてこの古典的な作品の内容を把握しておいた方がいいと思ったからだ。もちろん最初は日本語で読もうと思っていた。英語版を選んだのは、戯曲でセリフが中心なら英語でもすらすら読めると思ったからだ。もちろん、セリフが中心な分だけかえってニュアンスをとるのが難しかったり、ト書きも実際かなり緻密だったりして、思ったほど簡単ではなかったが、とにかく最後まで読み通すことができた。 ...