日本探偵小説史上の三大奇書の一角を占める作品なので当然昔読んでいて忘れているだけだろうと思っていたが、読み進めてみても一行も記憶に引っかかる部分がないこと以上に、この作品を読んで忘れるはずがない。つまり、まさかの初読だった。 舞台は1954年(昭和29年)暮れから翌1955年夏にか...
はるか昔、半月ばかり入院していたとき読書だけが楽しみで、本があれば何もいらないとまで思ったが、そのとき唯一読めなくて断念したのが本書だ。 気を引き締めて再挑戦してみたが、あれ読める。なんか肩すかしを喰らったような感じだ。その間にいろいろ読書遍歴を重ねたのでそれで読書力が向上したのか...
再読なのだが、この小説の主人公のようにほとんどすべて忘れていた。主人公の若い男性が、精神病院の個室でまったく記憶がないまま目を覚ますところからはじまるたった一日の物語だ。 『ドグラ・マグラ』がどういう物語かということは実はこの小説自身の中で語られている。この小説が患者のひとりが書い...