観客参加型の演劇は苦手だ。入口でルーズリーフと鉛筆を渡されてたじろいだけど、そのたじろぎを乗り越えてみるべき作品だったと思う。 ...
2度目のヌトミツク。生者と死者の関係性がテーマなのは前作と共通している。ここでは死者は生者と同じく姿を表し言葉を交わす。崖から海に飛び降りて自死した人とその残された家族という3組のペアが登場する。最初、自死をとめられず罪の意識を感じる遺族と死者がわかりあえてお互い癒されるというありきたりな話なのかと思ったが、この作品のメッセージはもっと尖っている。 ...
枠物語の構成をとっている。 外側の物語は『ゴドーを待ちながら』のパロディーだ。せっかくゴドーがあらわれたのに人々が待っていたのは彼ではなくチェーホフで、彼はどうにかチェーホフになろうとする。彼は、チェーホフがどういう人かを理解するため学ぼうとする。 ...
城山羊の会の下ネタに注目する向きがあるけど、フランス映画の中でもエリック・ロメール作品のような洒脱さが中核にあって、下ネタは下品にならないぎりぎりのところを攻めている気がする。いや、時々下品な時もあるが、その逸脱の感覚がスリリングなのだ。 ...
過疎の村の駐在所が舞台。駐在である竹井は退職して故郷に戻ろうとしていた。そこへ、不穏な事件が立て続けに起こり、かつて村を隠然と支配し放火殺人を起こし服役していた男が出所して弟と甥を引き連れて村に戻ろうとしているという話を聞く。当時逮捕したのは竹井だったのだ。 ...
今回もかなり難解な作品だ。岩松了は、年をとってから晦渋なマスターピースを作曲したフォーレみたいだ。そのフォーレの曲が劇中で使われていた。 ...
再演らしい。 とあるオフィスの一室が舞台。女性スタッフ6人がいれかわりたちかわり入退室する。異常に気づくのは最近入社した新人ユウコだけだ。自動ドアでないドアがしばらくすると勝手に閉まるのだ。いやいやそれでもデンジャラスは言い過ぎでしょうと思ったていたら、驚愕のスプラッタホラー展開へ・・・・・・。 ...
ダンスを見てると言葉と別の手段でなにかが伝達されているのを感じる。それはつまりコミュニケーションで、ダンスと演劇の共通点はこれまで思っていた以上に多い気がする。 ...
『のらじお』というPodcastで紹介されていなかったら一生読むことはなかった作品。 エリートサラリーマンの道を捨て零落してアマ=兵庫県尼崎市に流れてきた主人公生島。彼はスラム街のアパートで腐りかけの臓物に串を通す作業をして日銭を稼ぐことになる。 ...
なんと柴崎友香作品を読むのは初めて。作品を映画化したものはいくつかみたが、そのときの印象では、日本を舞台にして現代日本の文化に根ざしている感じだった。本作は探偵が主人公で自分の部屋に帰れないと設定がぼくの大好きな不条理系だったので読んでみようと思ったのだ。 ...