イキウメ『ずれる』

イキウメのメンバーのみによる、男5人だけの芝居。 親の事業を引き継ぎ社長を務める輝は、問題行動を繰り返す弟・春に手を焼いている。春は入院していた施設から戻ってくると、佐久間という男とともに何やら怪しげな計画を企てていた。輝が秘書兼家政夫として雇った山鳥は、被災して避難所暮らしをしていた整体師を家に連れてくる。その整体師には、幽体を離脱させたり戻したりする不思議な力があった。彼には、幽体離脱した春の姿も見えている。 ...

劇団アンパサンド『遠巻きに見てる』

オムニバスで見ておもしろかったので単独公演へ。 今回の作品限定かもしれないが、登場人物間の奇妙な人間関係にスポットライトをあてるところや、あて書きしているかのような役者と役柄のマッチングなどが、今までみてきたなかだと城山羊の会に似てると思った。 ...

斜線堂有紀『さよならに取られた傷だらけ 不純文学』

斜線堂有紀が、デビュー直後の無名時代、友人との賭けで100日間連続でSNSに投稿した掌編小説がベースになっている。収録作はなんと250編。すべての作品は高校の同じ部活の「先輩」と「後輩」の運命的な関係性を軸としていて、同じ設定の中でどこまで物語が変奏可能かを試しているかのようだ。ただ、作者はこの“定型”の枠組みを崩さないことに注力している。あくまでその枠組みのなかで変奏してるのだ。時を超えた愛、あるかなきかの生死の境界、スプラッタ展開などその後の斜線堂作品の要素が詰め込まれている。 ...

こつこつプロジェクト『夜の道づれ』

三好十郎が敗戦から5年後の1950年に書いた戯曲作品である。戯曲の形式をとっているものの、必ずしも舞台上演を前提としたものではなく、実際に上演された記録も残っていないようだ。夜道を歩きながら二人の男性が対話を交わす構成であるため、演劇としての上演が難しかったのかもしれない。 ...

チーム徒花『月曜日の教師たち』

小劇場界のレジェンド的な人たちが集まって作りあげた作品。といっても肩に力が入ってはなくて、エンターテインメントに徹した、細かくエピソードをつみあげていく匠の技を堪能できた。 ...

お布団『XXXX(王国を脅かした悪魔の名前)』

駅から15分離れたマイナーな劇場だったこともあってか、道案内をかねて前提知識を解説する音声コンテンツが配布されていた。これは開演してすぐに世界観に入り込めるのでとてもいい試みだと思う。 ...

はえぎわ『幸子っていうんだほんとはね』

なんと15年ぶりのはえぎわ。 セットのない素舞台に役者が勢揃いしてバックステージツアーのシーンからはじまる。空っぽの舞台にたくさんの役者。そのアンバランスさにかすかに不安になるがちゃんと物語が始まった。 ...

ポール・オースター(柴田元幸訳)『4 3 2 1』

2024年4月に亡くなったオースターが2017年に完成させた最後から2つ目の長編小説。800ページ弱、厚さ4.5cm、重さ1キロある大著。持ち運ぶだけで一苦労だった。読後感には重さからの解放感が含まれてしまう。 ...

ヌトミック『何時までも果てしなく続く冒険』

初ヌトミック。4年ぶりの新作長編とのこと。生演奏の音楽が全面に出るところが特長でまさに音楽劇だ。基本モノローグで進行するので最初はチェルフィッチュの音楽特化版かと思った。でも社会批評性はないし、語られるストーリーはそこまで整理されてなくて荒削りな状態だ。 目指す方向性が違うようだ。 ...

『終点 まさゆめ』

今年初観劇。 安楽な老後生活が送れるという惑星《まさゆめ》に宇宙船で向かう船長一人と乗客7人。ところが事故で燃料が流失し1人を放出しなければいけなくなり、まさゆめの生活でで一番役に立たない人を民主的に話し合いと投票で決めることになる。 ...