『ザ・ヒューマンズ─人間たち』

アメリカ・感謝祭の日に再会する一家の物語。 郊外に暮らすエリックとディアドラ夫妻、認知症の祖母モモ、長女エイミー、そしてニューヨークで歳の離れた恋人リックと暮らす次女ブリジッド。彼らが小さなアパートに集い、穏やかな祝祭ムードで始まるが、物語は次第に不穏な空気を帯びてゆく。 ...

海野十三『地球盗難』

しばらく読書してなかったのでリハビリのつもりで、気軽に無料で読めるこれを選んだ。分量的にも長編というより中編に近い。 出版は戦後の1946年だが、1936年の雑誌連載が初出のようだ。まだ日中戦争も始まってないので、戦争の影は作品の中には出てこない。 ...

『リプリー、あいにくの宇宙ね』

リプリーというのはシガニー・ウィーバーが演じた映画『エイリアン』の主人公の名前。まったく予備知識なしで見たが、今回の作品は『エイリアン』へのオマージュを捧げた音楽コメディなのだった。 ...

イキウメ『ずれる』

イキウメのメンバーのみによる、男5人だけの芝居。 親の事業を引き継ぎ社長を務める輝は、問題行動を繰り返す弟・春に手を焼いている。春は入院していた施設から戻ってくると、佐久間という男とともに何やら怪しげな計画を企てていた。輝が秘書兼家政夫として雇った山鳥は、被災して避難所暮らしをしていた整体師を家に連れてくる。その整体師には、幽体を離脱させたり戻したりする不思議な力があった。彼には、幽体離脱した春の姿も見えている。 ...

劇団アンパサンド『遠巻きに見てる』

オムニバスで見ておもしろかったので単独公演へ。 今回の作品限定かもしれないが、登場人物間の奇妙な人間関係にスポットライトをあてるところや、あて書きしているかのような役者と役柄のマッチングなどが、今までみてきたなかだと城山羊の会に似てると思った。 ...

斜線堂有紀『さよならに取られた傷だらけ 不純文学』

斜線堂有紀が、デビュー直後の無名時代、友人との賭けで100日間連続でSNSに投稿した掌編小説がベースになっている。収録作はなんと250編。すべての作品は高校の同じ部活の「先輩」と「後輩」の運命的な関係性を軸としていて、同じ設定の中でどこまで物語が変奏可能かを試しているかのようだ。ただ、作者はこの“定型”の枠組みを崩さないことに注力している。あくまでその枠組みのなかで変奏してるのだ。時を超えた愛、あるかなきかの生死の境界、スプラッタ展開などその後の斜線堂作品の要素が詰め込まれている。 ...

こつこつプロジェクト『夜の道づれ』

三好十郎が敗戦から5年後の1950年に書いた戯曲作品である。戯曲の形式をとっているものの、必ずしも舞台上演を前提としたものではなく、実際に上演された記録も残っていないようだ。夜道を歩きながら二人の男性が対話を交わす構成であるため、演劇としての上演が難しかったのかもしれない。 ...

チーム徒花『月曜日の教師たち』

小劇場界のレジェンド的な人たちが集まって作りあげた作品。といっても肩に力が入ってはなくて、エンターテインメントに徹した、細かくエピソードをつみあげていく匠の技を堪能できた。 ...

お布団『XXXX(王国を脅かした悪魔の名前)』

駅から15分離れたマイナーな劇場だったこともあってか、道案内をかねて前提知識を解説する音声コンテンツが配布されていた。これは開演してすぐに世界観に入り込めるのでとてもいい試みだと思う。 ...

はえぎわ『幸子っていうんだほんとはね』

なんと15年ぶりのはえぎわ。 セットのない素舞台に役者が勢揃いしてバックステージツアーのシーンからはじまる。空っぽの舞台にたくさんの役者。そのアンバランスさにかすかに不安になるがちゃんと物語が始まった。 ...