トマス・ピンチョン(志村正雄訳)『競売ナンバー49の叫び』

今更という気もするがはじめてのピンチョン。長編の中では一番短くて中編といわれることもある本書を手に取った。 物語は案外シンプルだ。1965年のカリフォルニア。28歳の女性エディパは元恋人の大富豪インヴェラリティの遺言執行人に指名され、サン・ナルシソという町に赴く。そこで彼女は、郵便...