お帰りなさい

Q

「お帰りなさい」ってどうして命令形なのでしょう?あと、フランス語で「お帰りなさい」は何というのでしょう?(O.Kさんの質問)

A

今回調べる中で、ぼくが勝手に謎の命令形御三家と名づけた3つの言葉があります。「お帰りなさい」、「おやすみなさい」、そして「ごめんなさい」です。

「お帰りなさい」はすでに帰宅している人に対しておいうちをかけるようで変ですし、「おやすみなさい」は自分が眠ろうとしているのに他人に休めというのはよくわからないし、「ごめんなさい」にいたってはそもそも何を命令しているのかよくわかりません。

一番簡単なのは「ごめんなさい」です。「ごめん」は「ご免」で、許すということの丁寧語。つまり「許してください」ということで、完全に意味が通ります。

「おやすみなさい」も、想像するに「わたしはもう休みますけど、あなたも無理せずに休んでください」ということではないでしょうか。

さて、「お帰りなさい」です。当たり前でつまらない結論ですが、「お帰りなさい」と呼びかけるのは本来、家の門前とか玄関とかであって、完全に家の中に入ってくつろぐ前の状態だった。そういう人に対して、「さあ家の中にお入りください」といっていたのが、いつの間にか、すでに家の中に入ってしまった人に対してもいうようになったということではないでしょうか。

もう一つの質問の答えですが、フランス語では、「お帰りなさい」に対応する言葉は特にないようです。もちろん、帰ってきた人を迎えるときに、「あなたは帰ってきましたね」とかそういう意味の言葉をいうこともあるでしょうが、あいさつとしてではありません。あいさつとしては、時刻に応じて、ふだん会ったときと同様に、“Bonjour"とか"Bonsoir"とかいうようです。

帰宅した人に対する専用のあいさつがあるのが当たり前のような気がしていましたが、世界的にみると日本語は少数派なのかもしれません。